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労働基本権の制限~全農林警職法事件~
最高裁昭和48年4月25日大法廷判決。
【どんな話?】
昭和33年10月に国会に提出された警察官職務執行法改正案に反対した、「全農林」という労働組合がありました。全農林は農林省の公務員で組織されています。
同年11月5日、その反対運動のためストライキを断行。組合員、約2,500人に「ストライキに参加しよう!」とあおってしまいました。
この行為が国家公務員法に違反するとして、組合の役員5人が起訴されました。
【争点】
そもそも公務員であっても労働者であり、基本的人権である労働基本権は保障されています。したがって、それを制約するには、厳しい条件が付されるべきだというのが、それまでの最高裁の判例でした。
第一審は無罪、第二審は逆転有罪となりました。
【判決は?】
あえてむちゃくちゃ乱暴に言えば、公務員は民間人に比べたら身分が特殊で、なおかつ、その仕事は民間企業に比べて公共性があるから、労働基本権が制約されてもやむを得ない、というものです。
「人事院」という、内閣から独立した機関が給料の水準を勧告する仕組みがあったり、身分が保障(むやみにクビにならない)されていたりと、労働基本権を制限する代わりに、きめこまやかな保障(代償措置)を受けています。
ですから、公務員の権利を制限する国家公務員法の規定は、憲法に違反しているとはいえない、として上告を棄却。組合役員の5人の有罪が確定しました。
なお、岸・天野両裁判官は、補足意見で、「この代償措置が意味のないものになる時が来たら、公務員が代償措置を戻せ!と言って、ストライキをしても許される」としました。
【いのしし社労士@霞雲の介の解説】
久しぶりの大法廷判決の解説です。高校生のころ、労働三権を習った時に、同時に公務員のストライキが禁止されていると知り、「憲法に矛盾してるのにいいとかいな?」と単純に思ったものです。
しかし同じ憲法の中で、公務員の位置付けは「全体の奉仕者」だとも習ったし、「法律、予算 は国会で決める」とも習いました。ですから憲法の中で、この部分については、もしかしたら矛盾があるのかも知れないですね。
ちなみに欧米先進諸国では、日本では団結権すら否定されている消防職員を含め、公務員にストライキまで入れた労働基本権を与えることは「当たり前」であり、それを認めない日本の姿勢は「発展途上国並みだ」と批判しています。
またILO(国際労働機関)は、すでに批准された条約に違反しているとして、日本に法改正を勧告しているのみならず、日本には法改正をする法制技術がないとして、技術的援助をしてもよいとまで言われてしまっています。
エネルギーも食糧も他国に依存している国ですから、経済的グローバルスタンダードを自国の都合で守らなかったら、いつかしっぺ返しを喰らうと思うのは、私だけ?でしょうか。
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